悪霊の棲む日々
ハード・バイオレンスの巨匠西村寿行の幻の
傑作がいま甦る!
殺人犯として警察に追われる身の多門辰也は、能登への逃避行のバスのなかで青年とも中年ともつかぬ奇妙な男に出会う。そのバスが転覆──幻術の世界と現実の世界の境目への転落であった。急死した奇妙な男は実は十歳以上も若返っていたのだ。男にいわれるまま美しい人妻つきの快楽ルートに踏み込んだ多門は、鼠と蛙のあいの子が生息する悪霊の棲む島に誘われる。そこは夢魔の世界。死線を彷徨いながらも島を脱出した多門の謎解きと復讐の闘いが始まる。山田正紀氏巻末解説付。