バロックの試み
此処だけが世界ではなく今だけが生の時間ではない
ことを証す試みの幻想小説4篇。
「眼に見えるものが全てじゃないし、今ある形が唯一の姿でもない」儚くも豊穣な残響が記憶に塗り込められる、此処ではない何処か、今ではない何時かの物語。それはまた、生と死、虚と実、正気と狂気が一瞬にして反転し、魂が体の外に抜け出すというエクスタシーの語源(ギリシャ語)を想起させる言葉の劇的乱反射を放つ幻想小説集。/太陽と海の午後/月と森の夜/比丘尼詣/花散る街。