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文芸社文庫NEO 小説大賞

NEO――それは、新しいこと。

「輝かしい未来」と「限りない可能性」を感じさせる新しい書き手を募集します。
私たちは2017年1月に文芸社文庫NEOを立ち上げました。新しい書き手たちと人気イラストレーターが共鳴したとき、セカイはもっと、光り輝くと信じて……。創刊からおよそ1年、このレーベルからのリリースは9作を数え、20万部突破となる感動の恋愛小説『余命10年』も誕生しました。
そして今回、“新たなる才能を発掘したい!”という決意のもと、コンテストを企画いたしました。まだ出会っていなかったけれど「ちゃんと、しっかり、おもしろい」。そんな“キラリ”と光る才能を求めています。

刊行事例

最終選考結果発表
(2018.4.27発表)

・*・.:*・ 大賞 ・*:.・*・

文芸社文庫NEOより書籍化・出版/副賞として賞金30万円

『赤とんぼ』

吉川 結衣

吉川結衣「赤とんぼ」講評

高校2年生の主人公を取り巻く日常世界を、静かな情緒を漂わせながら描いた小説である。控え目な性格ではあるが後ろ向きではない「僕」。複雑な家庭環境にあっても、自分を慕う弟を守ろうとする優しさと強さも持っている。こうした主人公の心理を丁寧に描いているため、決して特別ではないが純朴な主人公のパーソナリティが自然と映し出されていた。また、蒸発した母親に寄せる複雑な感情と、同校に通う快活な女子との友情をテーマの主流として、「僕」の心の襞を落ち着いた筆致で表現している点も評価したい。弱冠16歳の作者であるが、安易で扇情的な展開に筆が流されることはなく、外連味も感じさせないところに、創作に対する誠実な姿勢をうかがわせる。新しい才能の発掘を企図した本コンテストの大賞にふさわしい小説である。

総評

今回は16歳の高校生の作品が大賞に選ばれたが、応募者の最年少は13歳、最年長は91歳と実に幅広い世代から力作をお寄せいただいた。応募者数の最も多かった世代は20代で、これに30代、50代、40代が続いた。とはいえ、年齢に関係なく野心的な小説をご応募いただき、書き手の熱意が伝わってくるコンテストとなった。

ジャンルとしては恋愛小説が目立つ傾向にあったものの、歴史小説やSF小説も少なからず見受けられ、また昨今、隆盛を極めているライトノベルも数多くお寄せいただいた。最終選考ノミネート作は粒ぞろいであったことに加えて、多様なジャンルの小説群であった。

候補作のうち「オムライス」は最も純文学寄りであり、平易な文章ながら読み応えのある作品であった。また日常における陰にこもった部分を、湿った感触とともに描出する表現力に非凡な才能を感じた。「恋を知りたければ星に願いなさい 愛を知りたければ空を仰ぎなさい」はある意味でスタンダードな恋愛小説という仕上がりで、健常者と身体障害者の恋愛について、ふたりの距離感をやや書き急いだ印象はあるものの爽やかな物語として紡いでいた。「一票!」は選挙を題材とした作品で、候補作のなかでも独自性が突出していた。登場人物がステレオタイプの感はあったが、政治にあまり関心のない読み手やこれから選挙権を得る10代でも十分に楽しめる内容といえる。

また「長い夜をこえて」「世界を滅ぼしたい人 この指とまれ」「夢領域であなたを守る」の3作品は、ファンタジー色を織り交ぜた小説である。主人公が時間や空間を超越する物語なのだが、丁寧に張られた伏線、ディテールを疎かにしない世界観、読み手の興味を持続させるための構成の妙など随所で工夫を凝らしており、確かな筆力が感じられた。そして「月と猫又」と「[現代妖草紙]鵜野森町奇譚」とは奇しくも猫又が登場する点で共通する。キャラクターに対する作者の愛着を感じさせるほど人物造型はよく練られているし、テンポのよい筋運びも書き手としてのセンスを感じる。特に前者は軽妙な文体が特徴的で、舞台である大正時代の気風も物語に溶け込ませていた。5作品のいずれもエンターテインメント作品として充実していたが、登場人物によって造型に斑があったり、部分的に展開がご都合主義であったりと目につく欠点もあり、総合点においてあと一歩及ばないという結果となった。

最終選考ノミネート作発表
(順不同・2018.3.30発表)

[現代妖草紙]鵜野森町奇譚
あきみず いつき

恋を知りたければ星に願いなさい 愛を知りたければ空を仰ぎなさい
灰島 了

世界を滅ぼしたい人 この指とまれ
長崎 強

月と猫又
青樹 凛音

オムライス
渡邉 英子

赤とんぼ
吉川 結衣

長い夜をこえて
月海 璃星

夢領域であなたを守る
天宮 音音

一票!
芝野 友基