前田利貞
武士を捨てなされ。歴史の表舞台から消えた
加賀藩士の運命を大胆に推理した物語。
加賀百万石、前田利家の六男利貞。関ヶ原の戦いで豊臣方につき、死亡したとされていたその名が、長野県安曇村の史料にいきなり登場。これは記述の混乱なのか、それとも……。戦の中に命と心をすり減らした武士が、諸行無常を知り、やがて大地に根差した生き方を選択したのだとしたら? 郷土史を研究する著者が大胆な推理を働かせ、歴史に翻弄される人間を慈しんで描いた物語。
※本書は、2005年12月に新風舎より刊行された『野麦街道』を改題し、加筆、修正したものです。