Mから貰った時間
目を閉じれば今も微笑んでいる君がいる。
──もう二度と訪れることのない季節の物語。
──僕は今、思い出の中に迷い込んでしまった。心が掻き乱されてしまうから、思い出さないように、今までずっと記憶に重い蓋を被せながら生きてきた。でも、ある時、遠い記憶が頭の奥からチクチク刺激して、ぱっと「何か」がはじけた。だから、また蓋を被せてしまう前に、筆を執ることにした……。目を閉じれば今も微笑んでいる君がいる。──もう二度と訪れることのない季節の物語。