海翔けた龍の記憶
─叶わぬ願い 想いの先に─
天保の飢饉──仙台藩、三陸の大須浜には
「貧困」も「飢饉による餓死者」もなかった!
「お月様より殿様よりも、大須旦那がありがたい」と浜甚句に謳われた海の商人、阿部家。若き当主、寿保は、天保の大飢饉の年に秋田から三千俵の救済米を運び入れる大事業を成し遂げる。この偉業により、三陸沿岸漁村の多くの命が救われ、雄勝十五浜から餓死者が一人も出なかったという。一方、吉原一の太夫との悲恋は、幼い頃からの縁と仙台藩の謀略が絡み……子孫が描く江戸時代後期、剛毅な青年の成長物語。