森 楠美子集 残月
納得ずくの期限付きの恋のはずだった──。
静かな情念を燻らす抒情豊かな恋愛小説。
大阪万博の頃、三十路になろうかという恵子は、アルバイトに来た大学生、三沢に出会う。彼のことを気に入った恵子は、自分からアプローチしていき、交際へと持ち込んだ。万博、美術館、コンサート…逢瀬を重ね、彼の気持ちが自分に傾きつつあることを実感する。しかし、彼の大学卒業が近くなり、それはすなわち二人の交際の終焉を示していた──。静かな情念を燻らす抒情豊かな恋愛小説。