猫の九郎と、おじやん
山里の古民家で寄り添う一人と一匹。
共に過ごす命の営みの温かさを感じさせる物語。
妻を亡くしたおじやんは、まだ寒い冬のある日、小さな仔猫を拾う。「九郎」と名付けられた猫はおじやんの献身的なお世話で、すくすくと育っていった。時折、ネズミを持ち帰るイタズラもしたが、九郎といると「自分も自分らしく生きよう」と思えた。九郎との生活は平凡だが幸せな日々だった。しかし、年月は一人と一匹の上に確実に降り積もり……。命の営みの温かさを感じさせる物語。