文芸社×毎日新聞 第2回人生十人十色大賞文芸社×毎日新聞 第2回人生十人十色大賞

その人生が「物語」。

人生は十人十色。それぞれの彩りがいっぱいに広がった一作を募集します。
入賞作品は書籍化して全国発売。あなたの人生が、「本」になるのです!

昨年、初の開催にして1,700点以上の作品をお寄せいただいた「人生十人十色大賞」。それぞれの人生の悲喜こもごもが綴られた作品たちからは、人肌にも似た温もりが立ち昇るようでした。人は誰もが人生で一冊は本が書けるもの。どなたの生涯にも「ドラマ」があり「物語」があります。「人生」をテーマにしたこの文章コンクールに、今年はあなたも参加してみませんか?

書籍化&全国出版

賞金総額50万円

原稿用紙2枚分から

第2回人生十人十色大賞・総評

第2回人生十人十色大賞・選考の様子
第2回人生十人十色大賞・選考の様子
来し方を文章化することは、散逸した写真を一冊のアルバムとして整理する作業に似ているのかもしれない。写真の数と人生の長さは比例しない。また写真の数と人生の豊かさも比例しない。何を撮ったのか。どの写真を残したいのか。たとえ、ある限定的な期間に焦点を合わせて綴ったものだとしても、書き手の心の襞が鮮やかに映し出されていれば、「人生」のドラマティックな記録となる。半生記に人生の長短は関係ないのだという、ある意味では当然の事実に思いを巡らせながら進めた審査だった。

また、書き手自身の半生ではなく、その父母や祖父母の半生を描いた作品も多く拝読した。たとえば短編部門では、直接的、間接的に戦争に関わったご家族について客観的な視点で綴られた作品が複数入賞している。これらを通じて、「加害/被害」「戦勝国/敗戦国」「戦中/戦後」と単純に色分けできない、複雑な犠牲と人生の模様が浮き上がる。“十人十色”の人生の記録が一冊の書籍にまとめられること。これは厳正なる審査の結果ではあるが、“縁”というものについても考えさせられた。

・*・.:*・入賞者発表・*:.・*・

─── 長編部門 ───

〜 最優秀賞 〜

(書籍化)

『マレタイム』

佐々木 真紀(東京都)

講評

ダウン症とふたつの合併症を持って産まれた我が子から、さまざまな気づきを促され、幸せの意味について教えられたという実体験を綴った作品。「母親になる」までの心の揺らぎが克明に描かれており、自身の“弱さ”に真剣に向き合った足跡として読める。ただ、読後の印象は極めて晴れやかで、「涙が希望に変わることを伝えたい」という作者の想いの切実さ、文章から伝わってくる実直さが、“しなやかな明るさ”ともいえる空気感を伝えているのだと思われた。それは、作者のインスタグラム(mare.time)でも見られる「希(まれ)」君の笑顔のような“明るさ”である。

〜 文芸社特別賞 〜

『七転び八起き、きっと明日は晴れる!』

安田 直子(長野県)

講評

波乱万丈の半生、広汎性発達障害の双子の子育て記。父親との確執、借金の取り立て、育児ストレス、学校トラブルなど苦悩の連続であるが、人としての、また母親としての強さが感じられる。また、夫との絆をはじめとして、周囲の人々との縁に助けられながら前進してゆくなかで、感謝の念も丁寧に綴っていて好印象だった。後半は特に読み応えがあり、子どもとともに母親として成長してゆく様、自分自身を変えたいという熱意と将来の夢を持つまでの家族物語が表現されている。

〜 毎日新聞特別賞 〜

『母の遺言』

西国 葡(静岡県)

講評

上質な私小説のような読み応えの作品であった。落ち着いた文体で主人公の出生、記憶、心模様を見事に表現している。序盤で不意に挿入される「人は何故追憶に浸り、ありもしなかった過去を美しく語りたくなるのだろう?」という問いは、実像と虚像がない交ぜとなった母親イメージに対する非常に複雑な愛憎の通奏低音となるだろう。文章技術も群を抜いており、主人公の内面の丹念な描写が、“邯鄲の夢”を想起させる終幕にある種のカタルシスをもたらしていた。

─── 短編部門 ───

  • 英語、わが愛
    森本 龍介(大阪府)
  • 怖かった少年たちに、背中をおされて……
    小嶋 雄二(東京都)
  • 卵 玉子 たまご
    小林 昌彦(東京都)
  • 歌いま唱歌?
    小山 るみ(兵庫県)
  • プレゼント
    うらやすうさぎ(神奈川県)
  • 五円玉の教え
    橋 裕一(埼玉県)
  • 邂逅ー大磯にて
    やまもと けいこ(兵庫県)
  • 半世紀生きてようやく気づく
    八木 裕子(兵庫県)
  • いつか娘が天に召される日まで
    荒城 素生(茨城県)
  • 宇宙とチョコレート
    中村 佐枝(福岡県)
  • あの日の笑顔(兵士の孤独)
    クリス・スキー・高岡(山口県)
  • 虐待のチェーン
    ネコライオン(奈良県)
  • 人生の呼吸法
    向日葵(大阪府)
  • cat’s アイ
    田口 千尋(東京都)
  • 父の背中
    助野 公彦(和歌山県)
  • 涙あふれて
    緒賀 麻梨子(愛媛県)
  • 野菜・果物に生涯をかけた
    ほんま ひろし(東京都)
  • おまけのあじわい
    石口 阿希(東京都)
  • クルマに乗るといつも始まる年老いた母の追想
    内藤 伸介(岡山県)
  • あ、レズじゃないです
    流星 やなぎ(埼玉県)
  • まあるい空。
    水谷 マサヒロ(東京都)
  • 母の冒険
    大原 紅子(東京都)
  • 小唄送り
    西川 勝美(京都府)
  • ルーツを辿る旅
    田原 彰人(埼玉県)
  • 闇に立つ馬
    藤田 潤(京都府)
  • 父と母の三十年
    朝井 弘子(兵庫県)
  • 帰省
    川中 夜子(東京都)
  • 女性にバンザイ!
    古橋 育恵(京都府)
  • 母の人生
    飯川 雅弘(宮崎県)
  • 空の彼方へ
    椎名 桜(兵庫県)

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