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「輝かしい未来」と「限りない可能性」を感じさせる新しい書き手を募集します。
文芸社文庫NEOの創刊からおよそ4年――。刊行後瞬く間に版を重ねた感動の恋愛小説『余命10年』は、ついに発行部数35万部を突破。その著者小坂流加さんの第2作『生きてさえいれば』も刊行から1年と待たず12万部を超えるベストセラーになりました。そんな勢いある新レーベル文芸社文庫NEOをプラットフォームに、才能を発掘すべくスタートした「文芸社文庫NEO小説大賞」。歴代受賞作も着実に読者を獲得し小説市場での存在感を高めています。
そして今年もまた、3回目となる文芸社文庫NEO小説大賞を開催いたします! まだ出会っていなかったけれど「ちゃんと、しっかり、おもしろい」。そんな“キラリ”と光る才能を求めています。新しい書き手たちと人気イラストレーターが共鳴したとき、セカイはもっと、光り輝くと信じて……。
文芸社文庫NEOより書籍化・出版/副賞として賞金30万円
『月曜日が、
死んだ。』
月曜日の憂鬱を経験している人は少なくないだろうが、その月曜日そのものがなくなった世界を描いた作品である。主人公のモノローグや仲間たちとの会話がテンポよく表現されており、やや風変わりだが魅力的なキャラクターもストーリーを彩っている。
ゲームやアニメに夢中だった少年期を飄々と語り、「俺は列島民の酸欠を避けるために意図的にボケっと過ごしていた。やる気がなかったわけではない」とうそぶく登場人物に少なからず共感を覚える読者は、自分自身を顧みながら、本作の変転するストーリーを読み進めるだろう。文章がやや硬いところは評価が分かれそうだが、荒唐無稽な面白味と読者に突きつけるリアリティとが程合いのバランスで織り込まれた小説であり、エンターテインメント小説としての疾走感はノミネート作のなかでも群を抜いていた。
3回目を迎える「NEO小説大賞」だが、今回がもっとも応募数が多かった。今回も幅広い世代層から力作が寄せられ、80代、90代からのご応募もあった。また20代に続いて、60代からのご応募が多く、骨太な歴史小説もたくさん拝読した点が今回の傾向といえる。ただ全体的に、「読みやすさ」と「読み応え」を魅力として併せ持った作品は、前回と比較すると少なかったように感じられた。
次点として挙げられるのは「恋するハンマーフリューゲル」「鬼さんこちら、手の鳴るほうへ」「また会える日を楽しみに」である。「恋するハンマーフリューゲル」は音楽を舞台とした青春小説で、安定感のある文章、豊かな演奏描写、魅力的な登場人物が持ち味となり、音大の日常を小説世界にきれいに落とし込んでいた。音楽という題材の専門性とストーリーのスローテンポが要因となり、全体的に間延びした印象を受けた点が惜しまれた。「鬼さんこちら、手の鳴るほうへ」はティーン向けの恋愛小説で、五角関係の恋模様が展開される。幼馴染み4人組のキャラクターはしっかりと描き分けられており、心の揺らぎを丁寧に表現しているところに好感が持てる。ただ、高校生にしては幼さが目につくことと、「鬼」の設定の消化不良が気にかかるところだった。「また会える日を楽しみに」は絵馬師を主人公としたユニークな小説で、文章の読みやすさとよく練られた設定が特長だが、起承転結の平板さが作品としての弱さになっている。もう少し大胆な展開や予想外の結末の表現に挑戦していただきたい。
モチーフの目新しさや設定要素の魅力はたしかに作品の強みとなり得るが、作者自身がアイデアや設定を“咀嚼”できているかが大きなポイントとなる。“咀嚼”が甘ければ、リアリティの表現や奥行きのあるストーリーを描くのは困難だろう。「段取り八分仕事二分」という言葉もあるが、モチーフや設定の掘り下げに創作の80%を費やしてもおかしくはない。そうしてステレオタイプやイメージの枠を突き抜ける小説を執筆していただければと思う。