【文庫】闇蔵
蛇の目の翔次郎始末帳
桜井翔次郎は、三十石の旗本だが先祖の不祥事で閑職に。
で、始めた新商売が大当たり。
元旗本桃井家当主の桃井翔次郎、南町奉行所同心百瀬正之介配下の岡っ引き金八、神田明神下の古刹、永徳寺の住職早雲は、身分は違うが、幼馴染だった。うだつの上がらない三人が、二年前の安政二年十月に起きた「安政江戸地震」から共同で始めた新商売が「闇蔵」だった。法外な預かり賃を設定して貸し出す蔵である。ところが、この闇蔵の借主が、押し込み強盗の大泥棒として処刑された。