夢のあと
自らをともしびとし法をよりどころとする。
ひたすら「今」を必死に生きてきた私の物語。
おっとりした性格の節子は、実家の寺が運営する保育園で働いていた。やがて結婚。三児の母となるが、次男を幼くして亡くしてしまう。その次男の50回忌を終えた時、節子は夢を見る──。穏やかで平安そうな老後であっても、そこに至るまでには悲しみも苦しみもあり、それらをひっくるめて「今」がある。そして姉と妹、弟の「今」も様々な経験の上にあるという家族史を含めた私小説。