それぞれの出版体験

Road to publishing

私の本が、高齢者世代とその孫世代の懸け橋になれば

葵 とも子さん

小さい頃から本を読んだり、絵を描くのが好きで、小説を書いてみたかったと話す葵さん。老人ホームに入った祖母のために、読みやすい新聞があればと考え、イラストを添えた手書きの新聞を、まめにFAXで送っていた。ある時老人ホームの職員から、祖母以外の老人ホームの方々も楽しみに読んでいると聞き、「せっかくだから、まとめてみよう」と考えた。それが相談会に足を運ぶきっかけだった。

葵さんが文芸社を選んだ決め手は2つあるのだという。1つは、店頭に並べてもらえるということ。書店でアルバイトをしていた葵さんは、配本を手伝った時、書店に届いても、その書店の裁量で置かれない本があると知った。並べてもらうことの難しさを強く感じた経験から、書籍が陳列されるところに強い魅力を感じたそうだ。
2つ目は、ISBNコードを付けてくれること。ISBNコードとは、世界で流通するすべての本を管理するために割り振られた13桁の番号のこと。ISBNコードがあれば書店での注文対応がしやすくなるため、自分の本を欲しいと言ってくださる人の手元に届く可能性が広がると考えたのだという。

執筆作業は、文章はないが1000枚以上の手書き新聞があるという状態でのスタートとなった。手作り新聞は、記事の切り抜きが多く、そのまま出版するのは現実的に難しい。そこで、いつも記事に添えていたキャラクターの物語を書こうと決めた。「老人ホームの方々がお孫さんと一緒に読めるものを」と小学校6年生の自分と、クマのぬいぐるみトーマスをモデルに、小学生でも読める、やわらかい文章を心がけた。時代小説が好きな葵さんにとって、とても難しい挑戦だったそうだが、思いついたアイディアはとにかく書き出し、ピックアップして肉付け、文にして章を作っていくというように、少しずつ物語を組み立てていった。
出来上がった本を見た老人ホームの方々からは、「孫にプレゼントしたい」と言われることが多いそうだ。贈り物として扱ってもらえることは、予想外のとても嬉しい反響だった。
「私の本が、高齢者世代とその孫世代の懸け橋になればと思います。子どもたちには、縁やめぐり合わせに感謝してもらいたいです」

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